秋になると、スズメバチがニホンミツバチの巣のまわりにやってくることが多くなります。スズメバチは肉食ですので、働き蜂を捕まえて連れ去ったり、殺したり、巣の中に侵入して幼虫を連れ去ったりします。中でも、オオスズメバチはニホンミツバチの群れを壊滅させる、恐ろしい天敵です。
ニホンミツバチはオオスズメバチを倒すことができます。1匹のオオスズメバチが巣箱に侵入したときに、数百匹のニホンミツバチが取り囲み、蜂球を作ります。
ニホンミツバチは筋肉を震わせて発熱し、蜂球内部の温度を上昇させ、その温度は46度にも達します。さらに、内部の二酸化炭素濃度が高くなることにより、オオスズメバチは死んでしまいます。
しかし、一度に多くのオオスズメバチが襲ってきたときはニホンミツバチもやられてしまいます。ニホンミツバチは最後まで戦うのではなく、勝負がついた段階で巣から全員で逃去して新しい場所で巣を作ります。ただ、オオスズメバチがやってくる秋になってから別の場所で巣を作っても、冬の間に食糧が尽きて群れが死滅する場合が多いと考えられます。
野生のニホンミツバチの群れの多くが、オオスズメバチにより壊滅させられていると考えられます。9月のある日、オオスズメバチが開放巣を襲い、ニホンミツバチは逃げ出してしまいました。
ニホンミツバチをオオスズメバチから守る方法は、巣門を十分に小さくし、オオスズメバチが侵入できないようにすることです。
巣門は金属製にします。これは、オオスズメバチが巣門の周辺をかじって広げて侵入しようとするためです。金属の巣門を広げることはできず、オオスズメバチは数日で諦めてしまいます。
野生のニホンミツバチの多くは、巣門が広かったり、もろかったりするため、オオスズメバチにやられることが多くなります。
野生のニホンミツバチの巣を保護したい場合は、金網を貼るのが効果的です。
オオスズメバチは集団でミツバチや他のスズメバチを攻撃する習性があり、これを利用して粘着シートでオオスズメバチを捕獲できます。
まず、1匹のオオスズメバチを捕獲し、粘着シートトラップに取り付けます。それを巣箱の上などに置きます。すると、他のオオスズメバチが誘引されて次々と捕獲できます。
ところで、オオスズメバチはセイヨウミツバチにとってはかなり重大な影響があります。
セイヨウミツバチはオオスズメバチに対抗策を持たず、数十匹のオオスズメバチによって群れが壊滅させられてしまいます。
オオスズメバチがいるため、日本のほとんどの地域ではセイヨウミツバチが野生化していません。結果的に、オオスズメバチがニホンミツバチの生息域を守っているのです。